プリティーリズム ディアマイフューチャー 感想 上葉みあ について
今までレインボーライブしか観ていなかったプリティーリズム3作品だが、オーロラドリーム(以下AD)、ディアマイフューチャー(以下DMF)もついに完走する事ができた。
AD、DMFは世界観を同じくした直接の続編となっているのだが、このDMFという作品がなんとも不思議な作品で、きれいにまとまっているとは言えないストーリー。作画もイマイチで、タイアップ要素も足を引っ張っている感じで、減点方式でいくと100点満点中40点くらいになってしまう作品なのだが、この作品しか持ち得ない凄まじい熱量を持っていて、加点方式でいくと謎の1万点が入って、1万40点になる。そんな作品だった。
その1万点の要素の一つが、主人公、「上葉(あげは)みあ」だ。
(以下ネタバレ要素有)
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彼女はスケールがでかい。声もでかい。そしてその声と行動で周りのキャラをグイグイ引っ張って物語を転がしていった。
前作のADの主人公、春音あいらは、DMFの時点では、舞台となるプリズムショーの世界で確固たる地位を築いているが、始めは、ドジな普通の女の子として登場する。
かたやみあは、のっけからその春音あいらに戦いを挑むキャラとして登場する。「春音あいらを倒して一番になる!」と標榜し、周りの女の子達にズバズバ本音をいい背中を押していく。最初はその制御の効かない行動に扱いに困っていた周りの人間も「みあがいるからがんばれる」と信頼をよせていくようになる。
等身大に悩むのは周りのキャラの役目で、みあ自身はそれを助ける強い姿が強調されていった。
視聴者たる私自身も「みあがいればなんとかなる」「みあがいればなんとかしてくれる」と、まるでヒーローのようにみあを見るようになっていた。
みあと対応するように描かれたのがヘインというキャラだ。彼女はみあの親友であったが、常に前向きなみあに対して、「自分は努力しか能のない凡人」だと自己評価しているように見えた(努力できるのも立派な才能ではあるのだが、彼女は肯定的には捉えていないようだった)。
物語が進行するにつれ、キャラが直面する問題も深刻度を増していった。
それを突破するためにみあの輝きは増し、ヘインの影はそれに反比例するように濃くなっていくようにも思えた。
OP映像でも、人間離れしたような光を放つみあが描かれ、物語は堕ちてゆくヘインを、ヒーローみあが、ともすれば自己犠牲によって救済するような話になるのでは?と想像した。
しかしそうはならなかった。終盤では彼女の等身大の部分や、弱さが描かれた。
ヘインもただ救われるだけの、背中を押されるだけの存在では無く、みあもまた、ヘインを必要としている事が描かれた。そして物語は、みあだけでなく、みあとヘイン、そしてその周りの人間が力を合わせることで突破され、幕を閉じた。
みあは、「まどか☆マギカ」のまどかのように、自分の未来と引き換えに、みんなの未来を救済するかもしれない、と考えた。しかしその予想は外れていた。そしてそれが素晴らしかった。
終盤のみあの変化は、描写が不足していた感もあり、若干唐突で、キャラがブレているとも捉えられかねないものだったようにも思う。
しかし未来の自分がどうなるか、みあ自身にもわからなかったはずだ。物語が始まった時のみあは、最終的に自分があのような考えに至るとは考えていなかっただろう。
みあは間違いなく天才だ。でも神様じゃない。まだまだ成長途中の一人の女の子だった。
親愛なる自分の未来。それはみんなにあるもので、上葉みあにもあるものだったのだ。
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正直視聴直後は「えらいもんみてしまったなー(思考停止)」という感じで。なんとかここまで言語化しましたがまだ整理がついてない感じが。いやあ、すごい作品でした。