アイカツ!総括! その1
「アイカツ!(初代)」が終了して約一年になる。ようやく自分の中で作品観がまとまってきたので、ここらで何回かにわけて総括してみたい。
・それぞれのスターライト
アイカツ!は物語展開上、アイドル同士が対戦して勝ち負けを決める事が多かった。
商業的にはゲームやおもちゃの促販アニメという側面が強かったので、勝ち負けにはついてはどうしても「大人の事情」という物がついて回った。
結果主人公補正的な物は強く働いたので、勝ち負け自体については釈然としない気持ちが残る事も多々あった。
2年目で多く見られたことだが、新キャラと旧キャラでどっち付かずとなった為か、ライバル感を強調するためか、引き分けを連発し、結果的に物語の緊張感を削いだ。
3年目終盤では、1-2年目のキャラが制作者の意図を大きく超えて成長した事と、主人公をないがしろにできない、展開上の都合の板挟みになっていたようにも見えた。
しかしこの作品が素晴らしかったのは、上記の事に振り回されつつも、主人公やメインキャラ以外にも目配りをした事だ。
主人公は挫折しつつも結果的には勝利し、トップアイドルという栄光を掴んでいくのだが、この作品は主人公が得た栄光を、みんなが目指すものとしつつも絶対の価値とせず、それぞれに、それぞれの成功がある点を強調して描写した。
劇中でこのような台詞が語られた。
世の中のアイドルを照らすスポットライトはずっと動いている。だから、その場所に立っている限りチャンスは誰にでも来る。チャンスは一度きりじゃない。
「アイカツ!#146「もう一度三人で」より要約
そしてこれらを体現するのが、服部ユウというキャラクターだ。
服部ユウは、大空あかりの通うスターライト学園の寮でのルームメイトとして登場した。元々ライブ描写があるようなメインキャラとして登場したわけではなかったが、その後、大空あかりが2代目主人公となり、出番が増えるかと思いきや、新キャラクターと交代して別の部屋に移る事になってしまう。
更に新キャラとして別の学校から留学に来たアイドルが登場すると、その交換留学で別の学校に行ったという設定で同じ学校からも離れてしまう。
このまま物語からもほぼ退場か!?と思いきや、その後再登場。それだけにとどまらず、初登場から一年以上を経てメイン回を務めることとなる。
なんと彼女は交換留学をきっかけとして、各地を旅する「旅アイドル」というジャンルを開拓していた!
彼女は作品上で描写されていない間でも、前向きに努力し成長していた。
彼女は「大人の事情」に巻き込まれた不遇キャラだったかもしれない。しかしこの作品はそういったキャラにも目配りする事で、メインキャラはもちろんの事、登場人物全てに価値を与えた。
作品中に描けるものには限りがあり、どうしても主人公の描写が中心となってしまう。でも主人公が挫折している裏で誰かがまた挫折し、また成功している。
服部ユウのような存在が、それを信じさせるのだ。もしかしたら放送が終了した今までまだ皆…と。
キラキラもっと瞬いて
ひとりずつのスターライト
空いっぱいにいちばんの
自分で輝け
「アイカツ!」3代目ED「オリジナルスター☆彡」より